未来へつむぐエンタメ選び:忙しい親のための家族と環境にやさしいヒント
日々の忙しさの中で、家族みんなでホッと一息つき、笑顔になれるエンターテイメントの時間は、かけがえのないものです。映画を観たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、本を読んだり。こうした楽しみの中に、少しだけ子どもたちの未来や環境への配慮を取り入れることはできないだろうか、とお考えになることもあるかもしれません。
しかし、倫理的な商品を選ぶこと自体にまだ慣れていなかったり、何から始めれば良いか分からなかったり、あるいは「エンタメ分野でどうすれば?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。このガイドラインは、そうした子育てに忙しい親御さんに向けて、無理なく日常に取り入れられるエンターテイメント選びのヒントを提供するものです。
倫理的なエンタメ選びとは?
「倫理的な消費」と聞くと、食品や衣類を思い浮かべることが多いかもしれません。エンターテイメントにおける倫理的な選択とは、単にコンテンツの内容だけでなく、それが作られ、届けられ、利用される過程全体に関わる人や環境への影響を考慮することを含みます。
具体的には、コンテンツ制作者への正当な対価が支払われているか(著作権の保護された正規版を選ぶ)、製造や配信に伴う環境負荷はどうか(パッケージの素材、デジタル配信の電力消費)、関連グッズの生産背景は適切か(労働環境、素材の調達)、といった様々な側面が考えられます。
忙しい日々でも無理なく始めるためのステップ
「倫理的なエンタメ選び」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、すべてを一度に変える必要はありません。まずは、以下のような手軽なステップから始めてみるのはいかがでしょうか。
- 今利用しているサービスや購入方法について、少し調べてみる: 普段利用しているストリーミングサービスや、よく買うお店のウェブサイトなどで、企業の環境への取り組みや社会貢献活動に関する情報を見てみましょう。
- 一つの分野から意識を変えてみる: 例えば、次に子どもと一緒に観る映画を選ぶときに「レンタルにするか、購入するか、ストリーミングか」といった利用方法について、少しだけ環境や経済的な視点から考えてみることから始めてみましょう。
- 中古品の活用やシェアを検討する: DVDやゲームソフト、書籍などは、中古品を活用したり、友人や家族とシェアしたりすることで、新しい製品の製造・輸送に伴う環境負荷を減らすことができます。
具体的なエンタメ分野と選択のヒント
ここでは、いくつかの身近なエンタメ分野を取り上げ、倫理的な選択肢や選び方のポイントをご紹介します。
1. 映像作品(映画、ドラマ、アニメ)
- 利用方法:
- ストリーミングサービス: 各社のデータセンターの電力消費や再生可能エネルギーへの取り組みなどを比較検討するのも一つの方法です。サービスによっては、環境保護団体を支援している場合もあります。
- レンタル: DVDやBlu-rayのレンタルは、多くの人が一つのパッケージを共有するため、環境負荷を抑えることにつながります。
- 購入: パッケージ版を選ぶ際は、プラスチックなどの包装材が少ないものや、リサイクル素材を使用したパッケージのものを選ぶという視点も持てます。電子版はパッケージの製造・輸送がない点がメリットですが、データを保管するサーバーの環境負荷は考慮が必要です。
- コンテンツ: 子どもと一緒に観る作品を選ぶ際は、多様な文化や価値観を尊重しているか、過度に暴力的な表現がないかなど、内容そのものについても話し合ってみる機会になります。
2. 音楽
- 利用方法:
- ストリーミングサービス: 映像と同様に、運営会社の環境への取り組みを調べてみる価値があります。
- CD・レコード: 素材や包装に注目するほか、中古市場の活用や、お気に入りのアーティストの公式サイトなどから直接購入することで、制作側への支援をより意識することができます。
- ダウンロード購入: パッケージが不要なため、製造や廃棄の負荷を減らせます。
- ライブ・イベント: 会場までの移動手段に公共交通機関を利用したり、マイボトルを持参したりすることも、環境への配慮につながります。
3. ゲーム
- 利用方法:
- ダウンロード版: パッケージの製造・輸送・廃棄がないため、環境負荷を抑えられます。
- パッケージ版: リサイクル可能な素材のパッケージか、説明書が簡素化されているかなどを確認してみましょう。
- 中古: ゲームソフトも中古市場が発達しており、手軽に利用できます。
- ゲーム機本体: 省電力設計のモデルを選ぶ、不要になった機器は適切にリサイクルに出すことも大切です。
4. 書籍(絵本、児童書、小説など)
- 利用方法:
- 図書館の利用: 最も手軽で環境負荷の少ない方法の一つです。多くの人が一冊の本を共有します。
- 中古書店: 古本を購入することで、新たに本を製造する資源を節約できます。
- 電子書籍: 紙の製造・輸送は不要ですが、読むためのデバイス製造や電力消費が発生します。ライフスタイルに合わせて使い分けるのが良いでしょう。
- 紙書籍: 持続可能な森林認証(FSC認証など)を受けた紙を使用しているか、環境に配慮したインクを使用しているかなどを確認するのも一つの視点です。
5. 関連グッズ(キャラクター商品、グッズなど)
- 選び方:
- 素材: プラスチック製品が多いですが、リサイクル素材や再生可能な素材(木材など)を使用したものを選ぶことを意識してみましょう。
- 生産背景: 信頼できるブランドか、製造過程で人権や環境に配慮している企業かなどを調べてみるのも重要です。
- 耐久性: 飽きずに長く使えるデザインか、簡単に壊れない丈夫な作りかなどを考慮すると、無駄な消費を減らせます。
- 中古・手作り: 不要になったグッズをフリマアプリなどで譲ったり、手作りで代用品を作ったりすることも、新たな消費を減らす行動です。
価格に関する懸念について
倫理的に配慮された商品やサービスは高価だというイメージがあるかもしれません。しかし、エンタメ分野においては、必ずしもそうとは限りません。
- 中古品やレンタルの活用: 中古書店やレンタルサービス、フリマアプリなどを利用することで、新作を定価で購入するよりも費用を抑えられます。
- 無料コンテンツの活用: 公共図書館の本やDVD、無料配信されている動画などを活用することも賢い方法です。
- 長期的な視点: 丈夫で長く使える関連グッズを選ぶ、または家族で繰り返し楽しむことができるコンテンツを選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが良くなることもあります。
まとめ
エンターテイメントは、私たちの暮らしに彩りや喜びを与えてくれる大切なものです。この大切な時間を楽しむ際に、少しだけ「子どもたちの未来のために今できること」という視点を加えてみませんか。
完璧を目指す必要はありません。まずは、今日から試せる一つのヒント、例えば次に借りる本を図書館で探してみる、ストリーミングサービスの料金プランを見直す、といった小さな一歩から始めてみてください。
こうした日々の小さな選択が積み重なることで、家族みんなで楽しみながら、子どもたちの未来をより良いものへとつむいでいくことができると信じています。